用語の解説

「覚醒剤の使用」
覚せい剤取締法には使用罪という規定がある。つまり、所持していなくても使用しただけで罪になるということである。自ら覚醒剤を注射したり、あぶって煙を吸い込んだりする自己使用の他、他人に注射する行為も使用罪となる。
 非営利目的での覚醒剤の使用は10年以下の懲役。営利目的の使用は1年以上20年以下の有期懲役、情状により500万円以下の罰金併科。
 営利目的での覚醒剤使用とは、人に覚せい剤を注射して報酬を得るような行為をいう。

「覚醒剤の所持」

逮捕された際には持ってなくても、家や車に隠してあった場合や、人に預けていた場合でも所持していたことになる。非営利目的での覚醒剤の所持は10年以下の懲役。営利目的の所持は1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金併科。

「覚醒剤の譲渡・譲受」
譲渡罪・譲受罪は、他人に渡す、あるいは受取るという行為そのものを禁じるもの。
 営利目的ではなく、ただ単に譲り渡しただけでも通常の譲渡罪になる。売るという行為が、単なる譲渡なら 10年以下の懲役。営利目的の所持は1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金併科。
 営利目的とはとは利益を得る目的があるということ。1万円で仕入れた覚醒剤を1万円以下で人に販売しても営利目的譲渡罪は成立しない。

「薬物事犯の再犯率」
薬物事犯で有罪判決を言い渡された者のうち、以前にも薬物事犯で有罪判決を言い渡されたことがある者の比率を薬物事犯の再犯率という。
 特に覚醒剤事犯の場合、この再犯率が約60%と極めて高いのが特徴。覚醒剤の依存性の強さを物語る数字である。

「薬物事犯の判決」
被告が罪状を認めている場合、裁判で争われるポイントは「執行猶予がつくかつかないか」である。
 覚醒剤事犯の場合は、法廷ドラマのように逆転無罪のような劇的なケースはほとんどない。はっきりとした物証も自白もあって、後は情状面をいかに揃えて執行猶予を勝ち取るか、という問題になる。
 初犯者の場合、覚醒剤の単純な自己使用と少量の所持の場合、懲役1年6月執行猶予3年となるケースが多い。

「麻薬及び向精神薬取締法」
麻薬(ヘロイン、コカイン、モルヒネ、LSD、MDMAなど)及び向精神薬の輸入、製造、製剤。譲渡、所持などの取り締まりの目的で昭和28年より施行された。
 麻薬取扱者であるためには。全て厚生労働大臣または都道府県知事の免許を要し、それ以外の所持を禁じ。麻薬の輸入、輸出、製造は麻薬取扱者がその都度厚生労働大臣の許可を得て初めてなし得ることにしている。また、麻薬原料植物は許可なくこれを栽培できず、研究者以外麻薬の交付、所持等は一切禁じられている。

「覚せい剤取締法」
覚醒剤(フェニルアミノプロパン、フェルニルメチルアミノプロパンおよび各その塩類)、およびその原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡およびその使用を取り締まることを目的とする。
 覚醒剤を輸入したり、輸出したり、また厚生労働大臣の指定する業者以外の者がこれを製造したときは1年以上の有期懲役(41条)。法定の除外事由のない者がこれを所持したとき、または譲り渡したり、譲り受けたときは10年以下の懲役。営利目的で所持または譲渡したりしたときは1年以上20年以下の懲役または情状により1年以上の20年以下の懲役および300万円以下の罰金(41条の2)。未遂も罰せられる。

「大麻取締法」
大麻はクワ科の1年草で、一般的には、これを乾燥させたものをマリファナ、花穂から分泌される樹脂を固めたものをハッシッシなどと呼ぶ。
 大麻取締法は、大麻を「大麻草及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂をのぞく)並びに大麻草の種子及びその製品は除く」と定義し、大麻の輸出入、大麻取締者以外の所持、栽培、譲受、譲渡、研究のための使用、大麻を所持することができる者の目的外使用、大麻から製造された医薬品の施用などを禁止し、その違反に刑罰を定めている。非営利目的での所持は5年以下の懲役。
 なお、大麻取締法は他の規制薬物取締法とは異なり、使用罪がないことが特徴である。

「刑事被告人」
起訴されてから判決が確定するまでの段階にいる人。

「起訴」
刑事訴訟の流れには3つのポイントがある。最初は逮捕、次に起訴、最後が判決。
起訴とは、刑事裁判にかけますということ。起訴されると裁判を受ける、つまり裁判上の刑事手続に乗ることになる。被疑者を裁判にかけるべきかを判断するのは検察官であり、警察が被疑者を真犯人だと思って逮捕しても検察官調べで、証拠が不十分だとか、真犯人だと断定できないと判断されれば起訴されず釈放される。

「保釈」
起訴された後、初公判までの間被告人を勾留するのは、逃亡及び証拠隠滅を防ぐためであり、その恐れさえなければできるだけ避けるべきである。そこで、一定の保釈保証金を納めさせ、その他種々の条件をつけ、もしその条件を守らなかったり、理由なく出頭に応じないときは保証金を返さないという制裁の下に釈放する制度を設けた。これを保釈という。
なお、次のような場合には保釈は権利としては認められない。
1、被告人が前に死刑または無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
2、被告人が前に死刑または無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
3、被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したとき。
4、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
5、被告人が、被害者その他の事件の審判に必要な知識を有すると認められるもの若しくは、その親族の身体若しくは財産に害を加え、又はこれらのものを畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
6、被告人の氏名又は住所が判らないとき
つまり、保釈とはいわば、判決前に釈放する代わりに逃げた時に没収するためのお金を預るというシステム。

上記1〜6に該当する場合でも裁判所が裁量によって保釈を許可する場合があり、これを裁量保釈という。覚醒剤の前科があると、上記3番の要件に該当するとされることが多いので、再犯者が保釈されるのは裁量保釈の場合に限られる。
最近では、ダルクや精神科病院を制限住居とした裁量保釈が認められる傾向にある。

「保釈保証金」
略して保釈金ともいう。保釈請求の際、保証金として裁判所に預けるお金。ごく普通の学生やサラリーマンで覚醒剤事犯の場合 150万円〜200万円ぐらい。保釈とは裁判前に釈放する代わりに裁判所がお金を預かるというシステムであるから裁判が終るまで逃亡しなければ、保釈金は全額返金される。
 つまり、保釈される被告人が逃げられないような金額を設定するため、被告人の経済的な状況にあわせて金額が決定される。

「執行猶予」
3年以下の懲役または50万円以下の罰金の言い渡しをする場合に、情状によって、一定の期間(1年以上5年以下の範囲内で裁判所が決める)その執行を猶予し、猶予を取り消されることなく、無事にその期間を経過したときは、刑の言渡しの効力を失わせる制度。執行猶予を許されている者がその期間内に、再び罪を犯して禁錮以上の実刑に処せられると必ず前の執行猶予が取り消されて、元の刑と合わせて服役することになる。。
 執行猶予を許すかどうかは、裁判所の裁量に任されている。
「法定刑」
法律上科すことができる刑罰のこと。覚醒剤の自己使用の場合は、10年以下の懲役であるから、法定刑は1月以上10年以下となる。
「処断刑」
法刑に法律上または裁判上の加重(累犯加重など)、軽減(情状酌量など)をする必要のある場合に、加減例を適用して裁定される刑。宣告刑はこの範囲内で言い渡される。

「宣告刑」
個々の犯罪に対して裁判官が、法定刑に基づき、 処断刑の範囲内で具体的に量定して言い渡す刑。

「即決裁判制度」
平成18年から行われている制度で、検察官が被告人を執行猶予にすることを求めて起訴する制度。通常、初犯の薬物事犯者が執行猶予付判決になることが多いため、検察官が執行猶予判決を求めて起訴することで、1ヶ月にも満たない身柄拘束期間で、30分位の公判が1回開かれて、その場で執行猶予付き判決が言い渡されて釈放される。